2017年「クラフトビアフェス信州」の開催中止から学ぶこと
皆さん、こんにちは。
長野県はクラフトビールの醸造が盛んであることはご存知でしたか?
ヤッホーブルーイングや志賀高原ビールなどのビアコンペで受賞しているような醸造所がゴロゴロ集まる、ハイレベルな県です。
そんな美味しいクラフトビールが集まる長野県では、
2014年から松本城でクラフトビール専門のビアフェス「ビアフェス信州」を開催してきました。
2014年~2016年の3年間の累計来場者数は5万人以上、
2016年は28ヶ所もの醸造所が参加するほどの規模で、多くの人に愛されるビアフェスです。
ところが2017年はこのビアフェスが開催中止になりました。
松本市の教育委員会が中止要請(7月28日)
2017年のビアフェスが、突如中止になった原因は、
松本市教育委員会(以下、市教委)が、自粛を要請したことです。
2017年4月、市教委は内規を改定し、「飲酒や酒類販売を伴うイベントに対して自粛を要請する」という項目を追加しました。
この内規をもとにビアフェス実行委員に、「品格がない」として自粛要請を行いました。
これに対して、飲食業者や町づくりに携わる関係者からは、疑問の声が多く挙がっています。
当然です。
せっかくの町興しやクラフトビールの振興につながる絶好に機会を逃すのは、非常にもったいないです。
ましてや「ビール=品格がない」という偏見では納得もできません。
自粛要請の前に、市民からの聞き取り調査を行ってもよかったのではと思います。
しかし、この話には続きがあります。
松本市教委会が落ち度を認める(8月1日)
自粛要請をした直後に、メールや電話で抗議が複数送られてきたそうです。
その甲斐もあってか、教委会が落ち度を認めました。
教委会内規の改定は、もともと飲酒による風紀を乱す行為(騒いだり、観光客の妨げになる行為)に対して自粛を促す目的でした。
しかし、内部で解釈の相違があったために、今回のようなことが起きた可能性があります。
残念ながら、今年は準備期間が足りなくなったため、開催は中止になりましたが、
来年以降の開催のために、フェス実行委員と市教委会の協議が行われています。
クラフトビール業界はまだ発展途上
近年、国内のクラフトビール業界は盛り上がりを見せていますが、
国民全体の認知度や、大手ビールメーカーのシェアに比べてまだまだ低いのが現状です。
そのため「よくわからないクラフトビール=品格がない」と思われる人がいることは仕方ないと思います。
しかし先に述べた通り、ビアフェス信州は、これまで累計5万人以上も動員するほどの規模です。
これだけの規模であれば、地域の活性化につながることは間違いありません。
さらに、まだ3年目のフェスにしてこの規模であれば、
今後はより大きな規模となる可能性も充分に考えられます。
松本市教委会とビアフェス実行委員が協議しているということですが、
雨降って地固まると言うように、ぜひとも来年以降は協力し合い、
地域の活性化とクラフトビール発展を両立して欲しいものです。
ビアフェスを発展させるのは実行委員だけではない
来年、ビアフェス信州が開催された時、
来場者は騒いだり、観光客の迷惑をかけないようにすることが大切です。
ゴミをきちんと分別するといった、些細なことも重要なマナーです。
今回の騒動を経てビアフェスを再開したというのに、
マナーを守れない人がいれば、
「やっぱりな。ビールを飲むやつらはこうなんだ」
「やはり中止すべきだったんだ」
などとなってしまえば、次回の開催もなくなり、互いに嫌な気持ちしか残りません。
クラフトビールの発展には、
〇醸造家(実行委員含む)
〇支援者(今回であれば教委会など)
〇参加者
の協力が必要で、どれが欠けても成立しません。
そしてこれは長野県だけの話ではないと思います。
ビアフェスの開催は、全国各地で行われています。
どのイベントに関しても、参加者のマナー次第では開催中止になる可能性が充分にあるのです。
実行委員・支援者そして参加者が協力してこそ、万人に愛されるビアフェスになるのではないでしょうか?
そうすれば、今後のクラフトビール業界は益々発展すると、私は確信しています。
拙い文章でしたが、最後まで見てくださって、ありがとうございました。
楽しいビールライフをお過ごしください!
〇参考記事
松本「ビアフェス」開けず 市教委が内規改正、「自粛」を要請 | 信濃毎日新聞[信毎web]
松本城公園ビアフェス「品格ない」に疑問の声 | 信濃毎日新聞[信毎web]
松本市教委側 落ち度認める ビアフェス自粛要請 | 信濃毎日新聞[信毎web]